ゴッホと北斎と花と絵てがみ〜2017秋の展覧会雑感〜

芸術の秋。

展覧会をハシゴしてきました。

 

まず、上野の展覧会をふたつ。

東京都立美術館の「ゴッホ展」と、

国立西洋美術館の「北斎とジャポニスム展〜HOKUSAIが西洋に与えた衝撃〜」。

 

どちらも見応えがある質と量。

 

11月の連休前、平日に行っても上野界隈は予想以上の人混みだったので、少々腰がつらくなっても観ておこうと勢いこみました。

 

でも、先に行ったゴッホ展の方に時間をかけすぎて失敗しましたw

 

北斎の方に好きな絵がたくさんあったのに足腰がきつくなったのと、お腹が減り始めてしまってwww

西美の北斎展は、超がつく有名画家たちが浮世絵から

インスピレーションをどれほど享受したのかがわかるように展示されていました。

 

たとえば、ドガの絵の印象は淡く優しいパステルですよね。

その踊り子たちの絵が、まさか北斎の浮世絵に影響を受けてたなんて

思いもしませんでした。

 

そんなふうに日本人が大好きとされる印象派のマネやモネ、

私が大好きなセザンヌの絵と、

彼らにインスピレーションを与えた浮世絵がきっちり並んで見比べられます。

 

ひと月前、広重の展覧会を地元で観たばかりなので、

「あれ?こないだ見たぞ」って絵ももちろん数枚ありました。

 

それに、最近の展覧会はTVでもガンガンコマーシャルしてますね。

芸術家を題材にしたドラマまで観たら、そりゃ背景の理解も進むってものです。

 

実は今回もう一つ、うれしいことがありました。

出色の展覧会グッズに出会えたこと。

 

ゴッホ展のB4がすっぽり入るトートバッグです。

有名な歪んだ部屋のベッドの絵が、ゴッホ特有の強烈な個性とは真逆の

やさしい一筆書きのようなイラストに生まれ変わって嫌味がありません。

 

ほんわかタッチのゆるめの水色だけど、しっかりしたキャンバス地で少々の荷物でも持ち歩けそう。

 

実際、今回の旅でしっかり活躍しましたし、重い画材の持ち歩き用にも考えられたのかと思います。

320×380mmなのでA4判の分厚い資料もしっかり入るし、肩掛けもOK。

 

このサイズの、オヂサンオバサンにもほどよくおしゃれな感じになるトートバッグって、なかなかないんですよね。

軽く折りたたんで麻紐でまとめる、小洒落感はプレゼントにもいい。

800円だったから、もういくつか買っておけばよかったといま少し後悔。

企画展HPの通販グッズコーナーにありませんでした。

 

音声ガイドはゴッホ展の常盤貴子よりも、西美の松重豊の方に軍配を上げたいな。

 

ところで。今回の旅の目標は上野ではありませんでした。

 

10月31日から11月4日まで銀座第7ビルギャラリーで開催された「西本輝峰 個展 花と絵てがみ展」。

 

西本さんは地元北九州で 活躍していらっしゃる専心池坊の家元講師です。

趣味で始めた絵てがみも受賞歴があり、「いっそ銀座で個展でも」となったそうです。

 

その場所は、今をときめく?「GINZA SIX」の1ブロック隣。

 

ショーウィンドウの一点は華やかななかに凛とした品があり、

傍の絵てがみのパッチワーク?がご本人のおしゃべりのように

賑やかさを添えて出迎えてくれました。

 

小柄な体のどこにそんなパワーがあるのか?と呆れるほどのエネルギーを

しっかり頂戴しましたよ。

しかも母親世代。パワーの源はなんなのだろうw

 

特に、三百本もの柳をグググっと束ねて空気ごと変容させるかのような、ダイナミックな作品はご本人のパワーを象徴しているに違いありません。

 

美術芸術は観る人の感じ方次第とは思いますが、私は大胆さと繊細さを兼ね備えた西本さんのお花が大好きです。

 

また、当日は生け花の心得を知る友人を連れていったのですが、正解でした。

 

同じ花でも九州と東京では色の鮮やかさが違うこと、ショーウィンドウのアノ花は愛らしくて可愛いけど生けるのが大変、お水の張り方や調整も大変などなど、同じ花の使い手ならではの気づきと面白さを教わりながら見ることができました。

 

一向に花の名前は覚えられないのですが、

美しさを追求するためには白鳥の水かきのように、密かな絶え間ない努力が必要なのだとつくづく思いました。

  

絵てがみにも、通常のハガキサイズに収まりきれないほどのバイタリティがやはり見てとれました。

 

やわらかい筆使いやビビッドな配色の絵を盛り上げるように、いつもの朗らかな楽しいおしゃべりが倍増になって聞こえてきそうでした。

 

個展用にポスター大手描いた作品もほとばしる熱量がすごかった。

総じて食べ物の作品が多いのは、さもあらんと思わせてご愛嬌です。

 

なにより、生けることと描くこと、二つの表現方法を通して、生きるエネルギーをひと様に与えられることは素晴らしいと思います。

 

しかも楽しい笑顔にさせるんですから。

 

技術的なことは分からずとも、そんな思いを抱かせるのだから、芸術家の一人には違いない。

 

西本輝峰さんは心から尊敬する数少ない先輩の一人です。

さて、次はどんな作品を見せていただけるのでしょうか。

とっても楽しみです。